入れ歯の不調と歯肉がんの発生

先日当院で発見した口腔がんの事例です。
ご高齢の患者さんで、10年ほど前、他院で下顎の総入れ歯を作製し使用されていたそうです。
最近になって入れ歯を入れると、歯肉が痛くなるということで来院されました。

診ると典型的な下顎歯肉がんの所見で、ベルスコープ検査も陽性。すでにステージ3~4と思われます。
即日細胞診も実施して、精査のため基幹病院に紹介したところ、やはり扁平上皮癌であることが確認されました。

この方は義歯を作製した歯科医院が閉院となったため、この10年間歯科を受診していなかったそうです。
歯が1本もないから歯科の検診を受けなくてよいということはありません。
総義歯のかたも、1年1回ぐらいは歯科検診を受け、口腔粘膜と義歯の具合を確認することは口腔がんの観点からも重要です。